私の紅茶教室が「英国式」と名乗らない理由

↑ 3月。お雛様を前に、イギリスのお菓子とお料理で紅茶教室。


今は紅茶教室がたくさんあり、

紅茶の美味しさだけでなく、

お菓子やテーブルセッティングも含めた

華やかなレッスンが

色々な先生によって展開されている時代です。


ですが、

私が紅茶を学び始めた20年ほど前は

紅茶教室自体がまだ珍しく、

決して雰囲気重視の

教室ばかりではありませんでした。


私が当時通っていた教室は、

確か公共施設の会議室が会場でした。


おなじみ!?あの茶色い木目調の

会議テーブルをコの字にして着席。

テーブルの上には真っ白なカップ。

ソーサーはなし。

レストランに置いてあるような

白い縦長のペーパーナプキンの上に

クッキーが2~3枚。


一つのカップで

多い時には8種類ほどの紅茶を試飲したでしょうか。


そんなときは、

1種類がほんの一口だけのこともありましたが、

その分集中して味わったのでしょう、

今でも味を思い出すことができます。


いつもテーブルクロスもお花もなし。


ずいぶん殺風景な教室ではありましたが、

当時は特に何も思わず、

むしろ、

*紅茶は農作物であること、

*産地が違えば特徴が大きく違うこと

*旬の時期も色々であること

など、衝撃を受けることばかり。


ここでの経験が、

その後の私の紅茶に対する

基本姿勢になっていきました。


途中、その団体が解散してしまうなど

思いがけない事が起こり、

一時勉強を中断せざるを得なかった時期もありましたが、

有志の先生方のお陰で認定講師の資格を取得。


私は、人より少し紅茶に詳しい

紅茶講師のたまごになりました。


ですが、その団体の講師だと名乗り

活動することに、どうしても抵抗感が生まれる内容が、

学んだことの中に、一つだけ含まれていたのです。


それは、

「イギリスの紅茶は“文化”とはいえない」

というもの。


なんと!?普通は驚きますよね?

今そんなことを教えとして伝えている教室は

まずないのではないでしょうか。


どういうことかといいますと、

お茶の歴史を語ると神話の時代から始まる中国や

その中国から遣唐使の時代にお茶が伝えられた日本など

アジアの国のお茶の歴史に比べたら、

イギリスのお茶や紅茶の歴史は

たかだか300年ぐらいのこと。

だから文化と呼ぶには足りないということだったのです。


ですが、以前にも書いたことがあるように、

私はイギリスで出会った紅茶のある

朝食の風景に深く影響を受けていましたし、

それがきっかけですっかりイギリスに嵌り、

紅茶にも一層興味を持つきっかけにもなっていました。


そこへ、「文化ではない」との学び。


やはり正直混乱しました。


今から思えばきっと、

教室のとき、

テーブルの上に最低限のものしか置かれなかったのも、

イギリス式にとらわれない、

紅茶だけに集中するための方法だったのでしょう。


とはいえ、どうもその点が引っかかった私は、

自分で起業して活動するにあたっては、

イギリスの紅茶文化を否定するのではなく、

エッセンスを取り入れながらも、

日本でいかに美味しく紅茶を淹れるかに着目して、

紅茶そのものの味わいを大切にすることを

基本として、活動するようになりました。


私の教室も、スタートして数年は

自分が学んだ教室の影響が大きくあったので、

今とは全く雰囲気が違い、

実にシンプル・・・といいますか、

やはり殺風景なものでした。


さすがに会議テーブルむき出しということは

ありませんでしたが、

いわゆるテーブルコーディネート的な要素は

ティーパーティーのときだけで、

あとは紅茶主体の教室をしていました。


ですが、やがて生徒さんのニーズを

耳にしていく中で

私の考え方も大きく変化していき、

今のようなスタイルになってきています。


私のレッスンは、

確かにイギリスのものをたくさん使いますが、

「英国式」紅茶教室とは名乗っていません。


まるごとイギリスの真似をする訳ではなく、

四季を大切にする日本、

ましてや金沢という歴史のある地で、

いかに紅茶を暮らしの中で美味しく味わえるか。

そこに重きを置いています。


とかくスイーツやしつらえばかりに目がいきがちですが、

そこはやりすぎない程度にしつつ、

紅茶そのものを大事にしながらのレッスンです。


ある方によると、

私の紅茶教室は「紅茶三昧」だそうです(笑)


本当にその通り!


紅茶をたっぷりお飲みいただきながら、

産地、歴史、淹れ方、雑学などなど

紅茶の奥深さ、面白さ、美味しさを

お伝えしています。


紅茶教室といっても、色々なスタイルがありますね。


どこがいい悪い、

どこが正しくてどこが間違いという話ではないと

私は思っています。


それぞれの先生方が、

それぞれの経験から考え、まとめ上げた、

色々な教室があるのです。


島田 枝里 Official Website

フリーアナウンサー/ティータイムオーガナイザー/ ことばで想いを伝える 話し方コンサルタント